2017年11月27日月曜日

キャリアシフトの転職活動で重要な2つの視点

キャリアシフトの本質

いかに今までの古いペルソナから、
新しいペルソナを育てられるスペースへキャリアをシフトするか、
というのが今回の新連載ブログのテーマです。

40ともなるとある特定の専門性の高い仕事であれば
簡単に次の仕事を探せるかもしれません。
例えば、営業が営業の仕事を探すのは、たやすいことですが、
営業がWEBマーケティング職に就きたいと思っても
競争相手がずっとWEBマーケティングをやってきた方々ですから、
なかなか難しいということは察しがつきます。

それでも今までやってきた仕事はもうやりたくないわけですから、
「せっかく今までの経験があるのに勿体ない」などといわれても、
私たちには意味のないアドバイスです。
「とどまるべきといえるのも本物のキャリアコンサルの証」
みたいなキャッチで宣伝している転職エージェンシーがあるようですが、
これはキャリアシフトの本質を理解していない方の言葉です。

傍からみると、この人は何がしたいのだろうと思われるかもしれませんが、
それもそのはずです。今まで積み上げてきたキャリアを無視した新しいペルソナが、
今までのキャリアを否定して、完全に一貫性を欠くのですから。

ここで重要なのは、①自分なりにキャリアシフトのストーリーをつくりあげることです。
また、②古いペルソナと新しいペルソナとが和解するまで時間をかけることです。

和解の時間

それでは、和解するのにどれくらい時間をかければいいかですが、
ある方などは、前職を辞めた後にもかかわらず無職のまま2年間かけて
粘り強くトライし続けた結果、やっと自身が納得できる仕事に就けた
という話もあります(途中短期の仕事などをやりながらですが)。

前著「40からのMBA留学」で紹介した40になってリストラにあったニゲールの場合は、
敢えて1年間就活しなかったそうです。その結果、やりたくない仕事に
無理に就く必要がなくなりました。

そうこうしているうちに、いいタイミングで他から仕事のオファーをもらって
新しい仕事にシフトしています。
そして休職の経験から、ワークライフバランスの伝道師になりました。
彼の「自分の人生は自分の手の中に取りもどそう」という主張は、とても共感します。

【ワークライフ・バランスの実現】


両者に共通する点は、意外に思われるかもしれませんが、
職が無い状態にもかかわらず、悲壮感が全くないということです。
これには訳があって、両者とも家族の、特に奥様の理解とサポートが
あったからのようです。そして、彼らの前向きなマインドセットです。

どうしても転職活動というと、「不採用」の数が増えるにしたがって、
自分が「ダメ出し」を食らっているような感覚、
社会から必要とされていないのではないかという不安に苛まれて、
ネガティブ思考に陥りがちですが、新しいペルソナに沿ったキャリアの種を撒いて、
出てくる芽を待ち構えているのだと思えば、目指す方向へ少しでも行動していることは
決して無駄ではないですし、逆に楽しいと感じるはずです。

どちらにしても、一筋縄ではいかないとわかれば、
とにかくトライ&エラーで失敗をたくさんしながら、
そこから学んでいけばいいのかなとおもいます。
転職活動で1年、2年というと現実的に長いと思うかもしれませんが、
和解するのにそれなりの時間が必要だという覚悟は必要だとおもいます。

失敗しまくる

私もいろいろと新しい考えに沿った試みを行い、失敗をしてきました。

転職サイトでの人材開発系の応募ではことごとく落とされたので、
こうなったら人材開発や組織変革のポジションというターゲットの絞り込みをやめて、
もう少し広い意味での教育や組織レベルでの開発や企画のポジションに
転職可能性を広げてみようと思いました。

人事系のポジションだけではなく、コンサルティングや経営企画、
営業企画系の仕事の中にだって、組織のなかで人はいかに学び、
成長していくかという視点が欠かせないのですから、
ちょっと遠回りにみえますが、とにかくアプライして
面談までは漕ぎ着けようと決めました。

面談をたくさんやることで、
少しずつ自分なりのキャリアシフトへの物語が語れるようになってきます。
古いペルソナから新しいペルソナへのシフトが関連性をもって相手にも
納得してもらえるようになれば占めたものです。

特に家族や近しい方からの承認を
まだ得られてない場合は説得力ある物語ができてから
語ってみるのもいいかもしれません。
晴れて転職というゴールには程遠いですが、
「和解をする」という観点で考えれば、
非常に重要なプロセスだといえます。

時間をかけるとは、失敗も含めまわりや自分の認識を変えていく作業のことで、
やればやるほど結果が遠のくような気がしますが、
ある時突然ティッピング・ポイント(流れが変わる点)がやってきて、
シフトする準備が整う段階にきます。

その時のために失敗しているのだと思えば、
不採用が増えれば増えるほど、「和解の日」が近づいていると思ったほうが、
粘り強いキャリアシフト活動ができるのではないでしょうか。



2017年11月22日水曜日

MBAホルダーがおススメしたい転職エージェント!

転職エージェントよプライドを持て

前回記事より
転職エージェントへの厳しい批判が続いたので、
読んでいただいている方は
少し疲れてしまったかもしれません。

取り上げた方以外にも転職希望者に対してリスペクトのない
エージェントが何人もいたので、本当はこれくらいでも足りないくらいです。
単なるお仕事の紹介をしているのではなく、
ひとりひとりの人生やキャリアを扱っているのだという
プライドを持ってもらいたいと願い書かせていただきました。

私たちのキャリアに対する意識が変われば、
彼・彼女らも企業のニーズに応えるためには、必然的に私たちのニーズにも
応えざるを得なくなることでしょう。

過去の経歴だけでマッチングするくらいなら、
AIのほうがよっぽどこれからは信頼できるようになります。
転職エージェントが人でなきゃならない理由を突き詰めていけば、
私のようにAIでは探しきれない新しいペルソナに見合ったキャリアを
共に探してくれるパートナー、まだ可能性でしかないペルソナを
先駆けて承認してくれるような存在であるべきでしょう。

理想の転職エージェント

転職エージェントたちとのやり取りには、
ほとほと愛想をつかされましたが、
その中でも一人だけ、素晴らしい理想的なエージェントが
いらっしゃいましたのでご紹介します。

どちらの転職サイトからだったか忘れてしまいましたが、
Axis Consultingというコンサル系の仕事紹介に強い会社の方です。
仮名でK氏とします。K氏からのスカウトメールがきっかけでお会いしました。
こちらのエージェントを通して最終的に転職することはできませんでしたが、
今でも連絡をとらせていただいています。

K氏のどこが素晴らしかったかというと、
働きながら転職活動している私の時間などを
ご考慮いただいたのはもちろんのこと、
オフィスでの面談、2名体制でまずはしっかり
聴き取りしていただいたことなどが、
他のエージェントとは違いました。

事前リサーチをしてくれた

そしてとくに驚いたのは、
私の前著「40からのMBA留学」
買って読んでいただいていたことです。

非常に嬉しかったです。

このようなことは、後にも先にもありませんでした。
私がMBAを志し、取得するまでの体験談を綴った本ですから、
読めば30分面談するよりも多くの情報が得られるはずなのに、
誰も気付かないというのはもったいない話です。
(検索すればちゃんと出てきます)

営業のハウツー本を読んでいても、
相手企業のホームページやその企業の経営者がSNSで
どのような発言をしているかを事前に調べておくのは、
今や「エチケットだ」というくらいですから、
企業の採用側ばかり見ていないで、
実際の売り上げに貢献する私たち転職希望者のほうに
しっかりと寄り添ってもらいたいところです。

さすがコンサルティング会社と関係が深い企業の方だけあって、
こういった顧客との信頼関係を築くためのノウハウを学んでいるのでしょう。
面談していても私がなぜ建築から人材開発へとキャリアシフトしたいかを
よく理解していただき、話しやすかったです。

私の新しいペルソナを理解したうえで

「人材開発や組織変革のコンサルティングに最初から絞り込まなくても、
企業の経営全般における課題を解決していく中で組織開発という視点での
コンサルも出てくるのではないでしょうか」

というアドバイスをK氏からいただき、
この言葉が自分にとっては大きな気づきを与えてくれる一言として
後の転職活動にも大きく影響を与えました。

大きなチェンジよりスモールWIN

この連載を通してご紹介しているイバラ教授のワーキング・アイデンティティでも、
古いペルソナから新しいペルソナへのジャンプで多くが失敗していると言います。
古いキャリアと新しいキャリアのギャップが思った以上に深いからです。

ここで重要なのは、古いペルソナを無視してはいけないということです。
やはり今まで培ってきた専門的な知識や経験は、transferable skill(変換可能なスキル)
として利用可能だということを意識する必要があります。

「イノベーションのDNA」の著者クリステンセンもT字型人材、
すなわち縦軸に専門性を持ち、横軸に広い視野(MBA的なビジネスの全体像)をもった
人がイノベーターや起業家に多く、固定観念にとらわれない柔軟な発想で仕事ができる人々なのだそうです。

何かしら古いペルソナと折り合いをつけていくようなキャリアシフトが
現実では上手くいく確率が高いということで、
K氏が勧めてくれた「建築系企業に特化したコンサルティングファーム」などは、
私にとってまさにこのT字型モデルの典型であり、
イバラ教授のいう「大きなチェンジよりスモールWIN」
実践できるようなポジションであったので、
ドンピシャなアドバイスだったと思います。

K氏自身はここまで私の思考プロセスは知らなかったでしょうが、
前回、良い転職エージェントの条件でもお話ししたように、
「選択肢の幅を広げてくれるアドバイス」をしてくれた唯一のエージェントです。

「上司になる方が年下なので、あなたの年齢では(年上すぎて)ちょっと難しいかも」
とか、平気でエイジズム(年齢差別)を持ち出すエージェントもいますので、
ぜひエージェント選びは、慎重に行っていただきたいとおもいます。

生涯のキャリアパートナー

私が一押しの転職エージェント、
アクシス・コンサルティングさんは、
面談前のフォローや面談後のフォローもしっかりやってくれます。
不採用であってもその理由を一緒に分析してくれたりもします。

そのほかにも、自己啓発のためのセミナーや
異業種コンサルティング交流会など興味深いイベントを行っていたり、
メルマガで有益な情報を提供してくれたり、
頼れるパートナーになってくれます。

ホームページでも「生涯のキャリアパートナー」と謳っていますが、
私はこれが転職エージェントの存在意義だとおもうので、とても共感しています。
下手な転職サイトに登録するより、MBAホルダーなら
こちらの転職エージェントに直接御世話になることをおススメします。

最後に、唯一残念に思うのが、
私自身がもう少しK氏に対してアピールしていれば、
継続的にお仕事をご紹介いただけたのかなというところです。

3社ほど面談して、次に進めなかったので、
少しモチベーションが下がり、しばらく連絡をしませんでした。
今思えば、まだ足掻き足りなかったのかなとおもうところです。




2017年11月18日土曜日

良い転職エージェントを選ぶための3つのポイント

一般向け転職サイトに登録

会員制プレミア転職サイトは、
私のような「普通のサラリーマン」のキャリアシフトには
向いていないとわかったところで、
次に登録したのは、リクナビネクストとエン転職でした。

リクナビネクストでは、前職の企業に就職するときにお世話になったのと、
エン転職は、(退会した)ミドルの転職からこちらのサイトに登録しなければ、
紹介してもらえない仕事に応募したため仕方なく登録しました。

私の場合、資格登録のところで一級建築士は国の資格のため、
登録項目に出てくるのですが、面白いのは「MBA」というのも
ちゃんと資格登録の項目として存在するところです。
大学院卒ということですので、学歴のところで書けばいいと思うのですが、
他の国家資格と並んで「MBA」という項目があるのは、
やはり採用側から検索するときの条件として取り上げたい内容なのでしょう。
ということで、転職サイトに登録する場合も、MBA取得というのは
他の転職希望者と差別化するための「肩書き」となります。

やはりMBAを知らないのか…

ただ、これらの資格をみてくるスカウトメールが的外れなことも多く、
やはり採用側のMBAに対する知識があまりないようだということもよくわかりました。

あるときは、「貴方のご経験や資格から、このお仕事がふさわしいのではないかと…」
と勧められ、「タクシー運転手」のスカウトメールをもらったこともあります。

タクシー運転手も変な客がいたりして過酷な仕事なのか、
なり手がいなくて切羽詰まっているのはわかるような気がしますが、
タクシー業界では名の知れた企業が、
このような数打ちゃ当たる的スカウトメールを送るのも、
自社のブランド好感度を下げていることだと気付かないのでしょうか。

採用するという行為だけみれば、
いい人材に来てもらうというのが最終目的ですが、
採用しない人たちにも企業のことを知ってもらうチャンスなのですから、
もう少し真剣に見せ方、伝え方を考えていただきたいものです。



逆歴女史

この前は、年配の失礼なエージェントの話をしましたが、
またここで、面白い転職エージェントをご紹介します。
こちらは、エン転職で、エージェントを通さないと応募できない仕事に
応募してみたときのことです。
やはり人材開発系のお仕事に挑戦したかったので、
今回はメンタルヘルスチェックサービスを提供する会社への
応募だったのですが、今回はちゃんと職務経歴書をよく読んでくれて、
紹介したいので面談をしたいと返事がきました。

20代後半か30代前半の女性エージェント(仮にAさんとします)だったのですが、
面談の日にちもこちらが平日忙しいことも考慮していただき、
土曜日に会っていただけることになりました。
前回のエージェントと違い、
カフェの場所も落ち着いたところをチョイスしていただき、
いろいろ配慮してくれているな、というのが第一印象でした。

お会いして今までの経歴やなぜ今回全く新しいキャリアを目指したいかを
聴いていただいたのはよかったのですが、
相手の会社に出す前にということでこんなことを言われました。

「今回の企業では、職務経歴書は、時系列、
すなわち過去の経験から順番に書くスタイル「逆歴」が好まれますので、
そちらに書き換えていただけますでしょうか。」

「はい?そうしないと面談してもらえないくらいなら、
面談いただかなくても結構ですけど。
だって、逆歴だろうが、順歴(直近の経験から書く)が
私の経歴は変わりがないでしょう?」と私。

「でも、採用されたいのですよね」とAさん。

最後の言葉にカチンときました。
結局、彼女の言う通りのスタイルに職務経歴書を書き換えないと
先方には出してもらえないとのこと。
今まで4社ほど転職してきましたが、
そんなこと初めて言われたので、びっくりしました。

採用する側の些細なニーズに合わせることで差別化したいと思っているのでしょうが、
正直言って、そんなことで面談の扉を閉ざすような企業なら
こっちから願い下げたと思ってしまい、テンションが下がってしまったのです。

Aさんとしては、ちょっとしたことで跳ねられてしまうより、
取り得るベストを尽くすべきだということでアドバイスしてくれたのでしょうが、
そこまで媚びを売る努力をする必要性が感じられなかったので、
今回の応募の件は少し保留にして考えさせていただきたいと伝え、
お会いいただいたことに対してお礼を言って、カフェを去りました。

試しに同じ企業にアプライする

実はこの後、同じ企業の同じポジションの募集が、
その企業のホームページに載っていたので、
試しに直接応募してみました。

もちろん逆歴ではなく、通常(順歴)スタイルで。
結果は、合格。やはり面談いただけることになりました。
面談では、和やかな雰囲気でじっくり聴いてくれたのですが、
その後二次面接には進めませんでした。

「自分が営業していて難しいと感じることは何か、
そして、それに対してどう解決しますか」という質問に、
具体的なイメージができず、
歯切れが悪い回答しかできなかったからだとおもっています。

BtoBの営業経験は、技術フォローとしてしか行っていなかったので、
直接、決裁権者とやり取りするという今回のポジションには、
経験不足とみられてしまったようです。

良い転職エージェントの条件

おもうに今回の転職エージェントも、
私のニーズを全く満たしていません。
企業側からのインセンティブが強すぎる今のシステムがある以上、
そうなってしまうのかもしれませんが、
そのおかげで、私たちのチャンスが彼・彼女らの
偏った見方で限定されているとしたら、勿体ない気がします。
適材適所で人材をマッチングするためのゲートキーパーなのでしょうが、
企業に対しても逸材を取るためのチャンスを閉ざされている可能性があることを
もっと認識するべきだと考えます。

これからキャリアシフトを考える方々にとっては、
良いエージェントに巡り合うことも大切です。
そこで、良いエージェントを見分ける3つのポイントをシェアします。

1)面談の時間や場所を決めるときに、ちゃんとこちらの都合を考慮してくれる。

2)自分のキャリアを限定するようなネガティブ発言で従わせる俺流エージェントはNG。
  逆に、選択肢を広げてくれる提案ができるエージェントを探す。

3)面談の場所選びで、プライバシー確保をちゃんと考慮してくれる。

こちらは、補足ですが、最近カフェで面談していることが
私以外でも多く見受けられます。
隣に人がいるなかで自分の経歴やこれからのキャリアについて語るのは
落ち着かないものです。
カフェで話し合うにしても、最低限のプライバシー確保に
気遣いできるエージェントを選びましょう。
(これがなかなかいらっしゃらないので、エージェントの方にマストだと言いたい!)



中立な第三者の支援も

そして最後に、真のキャリアシフトを目指す場合には、
転職エージェント以外の中立な立場で支援できる
コーチングを利用することをおススメします。

コーチングでは、「答えは全て自分のなかにある」というのが
前提ですので、偏った価値観や相手の一面しか見ていない
他人としてのアドバイスは一切しません。
相手のお話をよく聴いて、それに対して更に問いかけ、思いや感情を
言葉にしていくことで気づきを得るという作業をお手伝いするのです。
このような自分らしらを取り戻すキャリアについてのコーチングに
ご興味があれば、右コラムのメールフォームから私宛にご連絡いただく
というのもオプションのひとつかもしれません。





2017年11月12日日曜日

キャリアシフトで重要な職務経歴書の作成ポイント

自分なりの物語

さっそくいくつかの転職サイトに登録しようと、
まず初めに登録したのは、ビズリーチとミドルの転職でした。
今まで20年間住宅産業に従事してきたのですが、
今回は自分の思い描く新しいペルソナ(Possible Self)に正直になろうとおもい、
まず、コーチングのスキルをのばせる仕事ということで、
人材開発、キャリアアップ研修などを行う企業への職をターゲットにして、
職務経歴書を書き直しました。

ここでもイバラ教授のアドバイスが役に立ちます。
(前記事参照)

「自分なりの物語をつくろう」です。

結局、今までのペルソナは、施工から管理、設計、性能評価や品質検査を
経験してきた「住宅業界」のマルチプレヤー(自分でいうのも何ですが
というイメージです。
それを今度は組織のなかで働く全ての人たちが、
自分らしい働き方ができるようなお手伝いができる
コンサル的なイメージへ変換したいわけです。

前者のペルソナは、経験や実績もありますし、資格もあるので、
それを言葉にすれば初対面の転職エージェントや採用担当者にもすぐ伝わります。
前述したように、人は知り合いでも見ず知らずの相手に対しても一貫性を求めます。
彼は、優しい人だから介護の仕事をしているとか、
彼女は人と接するのが得意だから営業の仕事ですとか。

でも実際は、得意とか、好きだとか、関心があるからといって
それを生業としているわけでもないですし、
たまたまとか、私のように別の理由で大学卒業後に
今の職種に飛び込んだ人たちもいらっしゃるかとおもいます。

ですから、人はAだからBの仕事をしている、できると
単純に決めつけることはできないのですが、
限られた時間と費用で採用する側としては、
過去の仕事と今募集しているポジションに一貫性がある、
すなわち即戦力になりそうな人材を取りたいのが現状でしょう。

だから、今の仕事がやりたいことではないと気づいたときに、
今までのペルソナを引き剥がして、全く新しいペルソナを作り出そうとしても、
そこに一貫性や説得力になる経験がないかぎり、
まわりが認めてくれないのです。

そこで重要になってくるのが、「自分なりの物語」です。


越境可能なソフトスキル

私自身も大きなキャリアシフトを何回か繰り返しています。
大工個人で工務店経営サラリーマンとして施工管理設計関連評価、点検技術者教育と同じスペースではありますが、役割や仕事の専門性は異なります。
ここでは、住宅というキーワードが一貫性としてあるので、
比較的相手に伝わりやすいですが、今回自分がやりたいとおもっている仕事は、
人事系の内容となります。

ですので、今までの仕事の中で、
これからやりたい仕事にうまく繋がっていくようなストーリーを
自分の中で見つけていく作業をまず最初に行いました。

自分が今まで経験してきた仕事の中から、
産業を超えて使えそうなスキルを考えてみると
次のようなことがあります。

・社内に埋もれたデータを分析して、改善や新しい仕組みを作り出す能力
・既存顧客から新しいニーズを掘り起こして、適切なソリューションを提案する営業力
・座学研修とOJTを上手く連携させて、顧客対応力を向上させるための教育デザイン力

住宅とか、建築というコンテキスト(文脈)を除いても、
これだけの越境可能なソフトスキルが出てきたのには、私自身も驚きました。

逆にいうと、普通のサラリーマンとして組織の中で考えながら一つひとつの仕事をしてきたからこそ、一社員としてもっとできることがあるだろう、
どういう環境ならもっと楽しくクリエイティブに自分らしい仕事ができるだろうかと
考えてきたからこそ、私たち40代には越境可能なスキルがたくさんあります。

MBAを学ぶ過程でこれらに気付き、ビジネスを包括的にみることで、
コーチングに出会ったのだということがわかります。

住宅の専門性が高い仕事から、人材開発系の仕事をしたいとおもったのは、
思いつきでも、何もないところから湧いて出てきたわけでもありません。

いくつもある自分の興味や関心ごとの蕾が開花して、
やりたいことの一つとして浮かび上がってきたのです。
このような思考の流れ、私自身の全てを一瞬でわかってもらうのは無理なことなので、
簡単に伝えられるような「物語」をつくり、まわりの人々に語っていくことで、
新しいペルソナの承認力を強化していくことが、非常に重要なポイントとなります。


同時に、古いペルソナから新しいペルソナへの道のりが
つながっているという「自分なりのストーリー」として言葉にすることで、
自分自身の納得感を醸成し、再認識する機会にもなります。




2017年11月10日金曜日

企業の虚構と個としてのキャリア

人間の大規模な協力体制は何であれ 、人々の集合的想像の中にのみ存在する
共通の神話に根差している 。
ユヴァル・ノア・ハラリ. (2016). 
企業というフィクションにどう向き合うか

オバマ前大統領のオススメの著書ということで、
我々ホモ・サピエンスの約7万年の歴史を紐解いた
壮大な物語の中で、なぜ企業という組織が成り立っているのか
という話が面白かったので、初めにご紹介します。

それは、認知革命として、現実には存在しない絆や神などを
想像する力を手にしたからだということで、
一番わかりやすいのは、お金です。
単なる紙切れ1枚ですが、相手も価値があると認識していれば、
物やサービスを交換する媒介になります。
それと同じで、企業もビジョンやミッションという
神話を信じる社員たちによって協力体制ができているといえます。

ですが、共同体意識とは、現実のものではないので、
言ってみれば虚構(フィクション)ですね、というのがオチになります。
その虚構を信じるものが、社員なのでしょうし、
少しでも疑ってしまえば、離れるしかないというのも
こうやって人類を俯瞰した見方をすれば、
至極当たり前のことなのかもしれません。

陳腐化した神話を信じ続けたい人と新しい神話を創造したい人たちが
せめぎあっているのが、今の時代です。
認知を超えたメタ認知革命が、個々人の人生のあり方、幸福感に
焦点を当て始めているので、その大きな部分であるキャリアでも、
企業がつくりあげた虚構とどう折り合いをつけていくかが、
無視できない課題となっているではないでしょうか。

大きなギャップ

MBA留学から帰ってきて、
復職してから3ヶ月でもともといた会社の神話を見限って、
転職活動を始めたわけですが、
ここであらたな壁にぶち当たりました。

私としては、今までの古い自己像を引きずった仕事に
魅力を感じないということがやってみてよくわかったのですが、
それなら何がやりたいのかと言った時に、
明確な答えが出せないところで焦りを感じました。

オーストラリアで出会ったビジネスコーチングを専門としてやってゆきたい。
そう思っても、まわりのネットワークも経験も何もないわけですから、
じゃあ会社を辞めて、コーチングをやりますというのは、
リスクが高すぎるのかなと感じていました。

ここで、立派な起業家たちは、武勇伝を語るのでしょうが、
私たち「普通のサラリーマン」としては、
「はい、はい、よかったね」でしょうし、
真似できない人たちの話を聴いても、あまり参考にならない気がします。

今までお話ししてきたように、新しい自己像を確立するためのリソース、
すなわちそれを支援してくれるような人間関係、コミュニティを築けてないうちから、
自分一人だけが新しい自己像、新しいキャリアにシフトしたくても、
まわりがそれを簡単には認めてくれません。

まさにイバラ教授が指摘するOld Self とPossible selfの狭間で
右往左往しているような心理状態でした。

仕事以外の多様なネットワーキング

それでも彼女のアドバイス通りにとりあえずやってみるかということで、
特に「仕事だけに焦点をあてない。新しいキャリアを支えてくれる人間関係もつくる」
とか「自分なりの物語をつくろう(なぜ変わるのかの動機を明らかにする)」などを
意識するようにしました。

実は、新しいキャリアを支えてくれる人間関係もつくろうというコンセプトは、
MBA留学をする前から別のかたちで意識していました。

ドラッカーが、これからは2足でも、3足でもわらじを履いて、
自分の仕事以外のところでも社会とのかかわりを持つことが
キャリアだといっていたので、
仕事以外で関心のある自然エネルギーや省エネについての集まりや活動に
積極的に参加していましたし、地域の新しい産業づくりを有志で行っている団体に
所属したりもしていました。

もともとキャリアの語源は、四輪車とか車の道からきているので、
一輪ではなく、二輪、三輪と走る車なら車輪が多い方が安定するではないか
ということです。
多様なネットワークというのは、
ライフシフトの著者グラットン教授も変革資産としてあげていますが、
私の転職にも繋がる話なので、しっかりとどのように影響していったかを
後ほどシェアできればとおもいます。

あらためて、イバラ教授のアドバイス通り、
新しい自己(Possible Self)の一つであるコーチングを中心としたネットワークを
作りたいと思い、国際コーチング連盟の日本支部に早速登録して、
会議に出席したり、ボランティア募集に応募したり、
仕事とは別にプライベートでの活動をしました。

一番は、自分自身のコーチング経験を増やしたいと思い、
どなたか関心のある方を探したかったのですが、
日本に帰ると、まわりが留学前の私との付き合いが長いせいか、
新しいキャリアを売り込む隙がないように感じてしまい、
意欲が削がれてしまいました。

オーストラリアでは、すでにクライアント2名にセッションを
受けていただいていたのに、日本に帰ってからはどうしたらいいのだろうと
怖気付いてしまいました。やはり過去の自己像、
今のキャリアに引っ張られてしまったのだとおもいます。

スモールステップは踏み出したものの、スモールWINもない状況で、
それでも何かしらのシフトはしたかったので、
いくつかの転職サイトに登録することにしました。

この転職サイトより出会うことになるキャリアエージェントたちの
愉快な面々については、いろいろな失敗談も踏まえて、
次の章でお話ししたいとおもいます。


参考文献
ユヴァル・ノア・ハラリ. (2016). 年, 柴田裕之 (訳),『サピエンス全史~ 文明の構造と人類の幸福~』.