2015年1月9日金曜日

MBAとジョハリの窓モデル


不満を漏らすクラスメート

ある時クラスメートと話していると
「Managing people in organisationsなんて正直俺が勉強することじゃない。
俺はファイナンスのアナリストだから、こんなことやっても人事じゃないんだから
人事関係の倫理やマネジメントを学んでも無駄さ!」と。

(まだまだ青いな!)
と思いつつそのクラスメートには、乾いた相槌を返しておく。


学ぶことに、「無駄」なんてものはひとつとしてない。
この境地にたどり着くまでに人生40年かかった。

このクラスメートを含め、
「これは無駄だ、あれは必要ない」という人たちは、
未来に必要な知識やアイデアを学ぶ機会を放棄している。


知らざるを知る

以前の記事にも書かせてもらったが論語のことばで、
「これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為す。是れ知るなり。」
というのがある。

知っているというのは、どこまで知っているのかを認識すること、
知らないことは知らないと逆に認識できることだ。

特に私たちの年代、社会人になると知っていることに注目して
「これは結局これと同じことでしょ?、それは要するにこういうことだよ」
簡単に自分の知っている範囲のなかでまとめてしまう。

知らないことが不名誉なのか、決して
「知りませんでした。もう少し詳しく聴かせてもらえませんか?」とか
「ここのところはこう思いますが、私の認識で足りない部分はありませんか?」
というような「知らないこと」に焦点を当てることが非常に少ない。


ジョハリの窓とは?

これらのマインドをわかりやすくマトリックスにしたのが、Johari's Windowだ。
サンフランシスコ州立大学の
心理学者ジョセフ・ルフト (Joseph Luft) とハリー・インガム (Harry Ingham)
それぞれの名前の頭をとってJOHARI(ジョハリ)の窓という。

田の字型で十字のラインで区切られていて窓のように見えるが、
それぞれ仕切られたスペースに名前が付けられている。
全体の窓は、社会における自分と他者とのコミュニケーション、
情報のやり取りの空間を表している。

左側①と③の縦列が、
「known by self」で知っている自分。
このエリアが通常自分が知っている、
知識として、または知恵として認識しているエリアである。

横の列は、上が他者によって知られている部分と
他者に知られていない部分とに分けられる。

それぞれ縦列と横のインターセクションで、
①は、自分も他者も知っているエリア、



③は、自分は知っているが、他者は知らないエリア、となる。




右側②と④は、「unknown by self」の列で、
自分が知らない(認識していない)エリアである。
上下の他者によって知られている、知られていないを交差させることで・・・

②は、自分は認識していないが、他者は知っているブラインド・スポット(盲点)と




④の自分も他者も知らない未知のエリアに分かれる。



例えば、上司と部下との関係で考えてみると

部下が自分だとすれば①は、
上司と共有している情報、それぞれの仕事の内容である。

私生活のことまですべて上司が知っているわけではないので、
③は、自分の土日の予定や好きな食べ物、
仕事以外の自分のことになるかもしれない。

②は、自分はまったく意識していないが、
実は上司が自分の仕事の正確さについて評価してもらっているとする。
ただ、上司からそのことについて伝えられたことがないので、
部下にとっては盲点のまま。

④は、もしかしたら上司と部下は正確な仕事はするが、
時間にルーズなのはお互いに気にしていないので
両者は他から言われないと
気づかないかもしれないというエリア。

ジョハリの窓は、何も上司と部下のシチュエーション以外にも、
クライアントとの関係や夫婦、友達との関係、MBAの学びについてでも使える。

例えば、①を自分自身の認識、学びによって獲得したエリアだとすれば、点線が示すように
認識のエリアを拡大するのに5つの方法が考えられる。

1)他者に教える、アイデアを伝えることでより認識を深めることができる。(①→③)

2)他者にフィードバックを求めることで、自分の盲点に気づき、
  自分の無視していた部分を学べるかもしれない。(①→②)

3)他者と一緒に対話することで、
  お互いに気づかなかったアイデアがポッ出現するかもしれない。(①→④)

4)知らない部分を探索することで、
  自分で発見することがあるかもしれない。(③→④)

5)他者が盲点をさらに観察することで、
  自分の知らない部分を知ることができるかもしれない(②→④)


















学びとは、自分のawareness(自覚、認識)を広げることである。
同時に盲点や知らないエリアが必ずあることを常に意識することである。

そうすることで、学びの窓は無限に広がる。
「無駄」を無駄だと思わないあくなき向上心が
MBA的ラーニングの真髄だ。

(次号につづく)