2014年11月27日木曜日

オーストラリアIKEAの節税方法が話題に!!

華やかなステージの裏側で

妻がたまたま会社からFinancial Reviewを持ち帰って来たので
さっそく読んでみると(11月6日付)、一面にIKEAが2003年から10年間で
10億ドル(AUD)≒1000億円ほどの税引前純利益があったのに、

節税対策で最終的には、1.03億ドルの純利益として報告されていたと書いてあった。
結果、国に対して少ししか税金を払っていないとのこと。

オーストラリアで発生した利益のほとんどは、ヨーロッパのルクセンブルグにあるIKEAの製品デザインやトレードマークなどを管理する別会社にフランチャイズ料などとして支払われ、同時にルクセンブルグ政府からは、税金の優遇措置を受けていたらしい。

アップルやAmazonなど国際的な企業もルクセンブルグにお金を流すことで、
該当国での税金支払いを回避しているらしい。
この方法は、全く合法でそれぞれ世界的に有名な会計事務所のもとで行われている。

※次の動画がわかりやすいので同時におススメ

Why IKEA's profits are mostly tax free 03:10




合法ならいいの?


記事を読んでいて、思い出したのは授業でやった「企業倫理」の話。

ひとつは、中皮腫発生との関係が明らかになってもアスベストを含む製品を
つくりつづけたJames Hardie社の被害者に対する補償問題についてだ。
オーストラリアは世界で2番目に中皮腫患者が多い国なのだそうだが、
合法なら事業活動による被害を無視または軽視して、利益の最大化のみを追求するべきか?


James Hardie win disappoints asbestos campaigners




もう一つは、マレーシアにあるNIKEの下請け工場の話(2008年)。
労働環境が非常に悪く、ベトナムからの出稼ぎ労働者は
パスポートを取られたまま返されないなど不正な労働搾取が行われていた。
(その後改善されたようだ)



企業のステークホルダー(stakeholder)は誰か?



これらの企業が軽視しているのは、直接利益にかかわる顧客や投資家以外のステークホルダー(利害関係者)に対する配慮である。

通常企業が意識して対応しているステークホルダーは、顧客、投資家、サプライヤー、従業員、政府くらいではないだろうか。

例えば、James Hardieのケースで考えると、中皮腫を発症しているのは、元従業員、建設従事者や住宅居住者など企業活動と直接的なかかわりのない人びとである。

そう考えると、工場をとりまく近隣住民や従業員の家族、
製品が使われるコミュニティ全体までと関係するステークホルダーは広がってくる。

NIKEのケースでは、サプライヤーの従業員とその家族、サプライヤーのさらにサプライヤーがNIKEの企業活動によってどのような影響を受けているのかまで考えなけらばならない。

ステークホルダーはなにも現在形で存在する人や組織に限定しない。

サステイナブル・リーダーシップを提唱するアベリーら(Avery et al.,2011)によると
企業の長期的な存続を実現するためには、配慮しなければならないステークホルダーに未来世代の子どもたち、街や国、そして私たちをとりまく地球環境も視野に入れる。


IKEAはサステイナブルか?


IKEAの節税対策をみて、2つのリアクションがあるとおもう。

「合法なんだからいいじゃん。製品も安くなるし。」

「他企業が真面目に税金払ってるのに。フェアじゃないね。」

どちらが間違っていて、どちらが正しいと思うかは、それぞれのもつ倫理観の問題だとおもうが、

なぜ企業として隠さずに節税対策はこんなかたちでやってますと堂々と公表しなかったのかを考えるとやましいとどこかで思っているからだろう。

透明性と正直な経営は、節税対策よりも大切だ。

Why is Ikea a Non-profit?


引用索引
Avery, GC & Bergsteiner, H (2011), 'Sustainable leadership practices for enhancing business resilience and performance', Strategy & Leadership, vol. 39, no. 3, pp. 5-15.