2014年5月16日金曜日

ドラッカーから与えられた課題。

ドラッカー著「企業とは何か(1946)」では、
米GM(ゼネラルモーターズ)の協力のもと、
組織内の人びとにインタビューをして、
人間の組織としての企業、社会における企業として
今何が起こっているかを分析し、あるべき姿を提案している。

冒頭を引用する:

企業の本質と目的は、経営的な業績や組織の構造ではなく
①企業と社会との関係、および、
②企業内の人間との関係にあるとする


ひとつめの企業と社会との関係では、
「自らの利益の追求が、自動的に社会的責任の
遂行を意味するよう経営」しなければ存続しないと言い、

その成果は、社会の中での存在の証(意義)であり、
責任を果たすための資源であると。

うーん…「成果」や「利益」は、人の欲望を満たすものであって、
「社会を更によりよくする資源」という視点では、
考えたことがなかったので、目からうろこだった。


二つめのポイントである企業内の人間の活動を、
それぞれ弱みも強みも雑多に持ち合わせた
「完全ならざるもの」達ととらえて、

組織(企業)は、人間から成るものなのだから、
完全なものは無理なので、そこを何とかうまく機能させることが必要だと。

うーん・・・並外れたリーダーたちが、
素人では思いつかないようなアイデアで
企業を運営するようなスーパーマン的なイメージがあったが、
「不完全なひとたちの集まり」だと、「組織」(企業)をとらえる視点は、
なんとなく普通に現場で働く社員にとっては、親しみやすい。


弱みも強みも種々雑多な人たちが、
ひとつの組織で、社会に成果を生み出すには、「マネジメント」が必要だ、
とあの有名なコトバ『マネジメント』がここでやっと出てくる。

企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。
企業とは何かを決めるのは、顧客にある。

顧客主義とうたっていても
組織で顧客の要求にこたえられる体制が出来ていなければ
人ひとりが対応できることには限りがある。

ドラッカーの「マネジメント」で一番共感するところは、
トップダウンの管理だけが、組織の機能ではないということだ。

「マネジメント」の3つの役割のひとつに、

仕事を通して働く人たちを生かす

というのがある。この部分の「マネジメント」は、
組織として存在する以上根本的な課題だと思う。

私もそうだが、自分の専門的な仕事については、
何をするかはやっているうちにわかってくる。
わかってくるが、毎日同じ仕事の繰り返しだと、
何も考えず、与えられた仕事のみこなせばよいと思ってくる。

それで給料はもらえても、人はそれだけでは満足しないのである。
ドラッカーは、「仕事の意味を知る」、何を行うかだけでなく
なぜ行うかを知る必要があるという。

現場の人間としては、ここは大賛成である。
トップは伝えた気持ちになっているが、
何が伝わっていないかを知らない。それを知る手だても非常に少ない。

そして、その伝わっていないことが、我々にとって
実は、本当に知りたかったことだということも知らない場合が多い。


働く者に対し、知りたがっていることを知らせていない。
彼らが知りたがっていること、知らないことを知ることが、
すべての基本とならなければならない(マネジメントより)

これは、トップ経営者からの視点。
私のような、普通の社員からいうと

知りたがっていることを知らせてもらうよう
働きかけなければならない、そのまえに何を知らないかを知ることが
すべての基本とならなければならない。

ドラッカーのいうマネジメントは、組織だけでなく
個々人の生き方、仕事の仕方、社会や地域における自分の立ち位置に
ついても適用できる。

ドラッカーの企業への質問を「私」に振替えるとこうなる。

①私の使命は何か?
②私の影響を与えたい人びと(顧客)は誰か?
③その人たち(顧客)が重視するものは何か?
④私は、どのような成果を上げているか?
⑤私は、どのような計画を立てているのか?

人はひとりでは生きていけない。
人である以上群れをなして、組織で何かを成していることを忘れてはいけない。
その組織のなかで、ひととのつながり、社会とのつながり、
自分自身をマネジメントしなければならない。

ドラッカーが引き合いに出しているイソップ寓話がある。
3人の煉瓦職人がいて
旅人がそれぞれ「何をやっているか?」と聞くと

一人目は、「親方の指示通り煉瓦積みさ!」面倒そうに

二人目は、「日銭のために壁をつくっているのさ」と仕方なく

三人目は、「地域の人びとが礼拝するための
大聖堂を作ってるのだよ。光栄なことだ。」と嬉しそうに話したという。

同じ煉瓦積みという仕事なのに、なぜ人によってこれだけ見方が違うのか?
誰だって、三人目のようにハッピーな気分で仕事したいはずだ。

「仕事の本質」、「働くことの意義」、「組織とは何か」を
MBAでは学びなさい。ドラッカーには、そういわれている気がする。

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